論文詳細
電界処置時の体表刺激の原因となる体毛の揺れは出力波形の組み合わせにより調整可能
電界を形成する際に、体毛モデルにおいて直流(DC)と交流(AC)の混合により電気力を調整可能であることを示した論文が、電気学会の国際誌 IEEJ Transactions on Electrical and Electronic Engineeringに掲載されました。当社と早稲田大学、帯広畜産大学との共同研究の成果です。
電界中の物体には、電気力と呼ばれる力が作用することが知られています。また、ヒトを含む動物は、電気力によって生じる体毛等の動きを介し外部の電界を感知し、これが電界の生物学的作用のトリガーの一つとなりうると考えられています。電界の中に体毛を置く体毛モデルにおいて、DC電界では体毛に対し一方向性の、AC電界では振動する電気力が発生することが知られています。それに対して、DCとACを混合した場合、体毛に及ぼす電気力がどの様に変化するか、またどのような比率により電気力が最大化するのかなどはこれまで知られていませんでした。
本研究では、理論的な計算の結果、実効値が一定の交直重畳電界において、DC成分とAC成分の二乗の比が1:2の時、生じる電気力のピーク値が最大となることが判明しました。このとき、電気力のピーク値は、DC電界単独、AC電界単独の場合より、それぞれ3倍と1.5倍になりました。電気力は、電界の生体作用にも関係すると考えられ、この研究成果は、電界処置の作用引き上げを検討する上でも参考になる情報を提供するものです。
IEEJ Transactions on Electrical and Electronic Engineeringは、電気学会(IEEJ)が発行する国際的な学術雑誌です。電気学会は日本国内外で電気工学分野の研究と技術開発を推進するために設立された大規模な学会です。本雑誌は、電気工学および電子工学の最新の研究成果を発表する場として広く認知されており、2023年のインパクトファクターは1.0です(インパクトファクターは、学術雑誌の影響力や信頼性を測る重要な指標です)。
本研究結果が、社会の健康と福祉に役立つことを願っています。
発表者
根立 隆樹(株式会社 白寿生科学研究所 研究員)
清水孝一(早稲田大学 教授)
鈴木宏志(帯広畜産大学 教授)
原川 信二(帯広畜産大学 客員教授)
発表雑誌
発表雑誌名:IEEJ Transactions on Electrical and Electronic Engineering
論文名:Theoretical Increase in the Electric Force Exerted on Body Hair Owing to Superimposed Electric Fields with Optimized AC / DC Ratios (最適化されたAC/DC比率の交直重畳電界が体毛に及ぼす電気力の理論的増大)
著者:Takaki Nedachi, Koichi Shimizu, Hiroshi Suzuki, Shinji Harakawa
論文 URL:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/tee.23413