論文詳細
電界処置による緊張性発汗抑制の可能性:自律神経系の関与
当社と静岡済生会総合病院との共同研究の成果をまとめた論文が、学術雑誌「Applied Sciences」に掲載されました。
この研究では、超低周波電界(電界処置)が自律神経活動に与える影響を調査しました。
これまでの研究で、心拍変動による自律神経指標や脳波の測定により、電界処置に伴うリラックス作用が示唆されてきました。
今回の研究では、これまでの研究で使用してきた指標に加え、皮膚コンダクタンス(電気の通りやすさ)測定によって、指の発汗を評価しました。12名の健康な被験者が、20分間の電界処置(適用電圧:9 kV、誘導電流密度:6 mA/m2以下)と擬似処置をランダムな順序で2週間以上の間隔を空けて受けました。
電界処置前後の2分間、目を開けた状態で皮膚コンダクタンスと心拍変動を測定しました。結果として、電界処置後、皮膚電気活動の自発的変動(SC-SFs)の数が有意に減少し、リラクゼーションを含む心理的変化が引き起こされたことが示唆されました。一方、今回の調査では心拍数およびHRV指標に顕著な変化は認められませんでした。以上の結果から、電界処置がSC-SFsを通じて交感神経活動を減少させることで自律神経に影響を与えることを支持しており、電界処置によるリラックス作用のエビデンスを補強すると共に、電界効果の評価系を開発する上でも有用な情報となると考えられます。
「Applied Sciences」は、応用自然科学のあらゆる側面をカバーする国際的な査読付きオープンアクセスジャーナルであり、信頼性の高い学術情報を提供しています。最新のインパクトファクターは2.5であり、主要なデータベースにインデックスされています。
https://www.mdpi.com/journal/applsci
この研究結果が、社会の健康と福祉に役立つことを願っています。
発表者
榛葉 俊一(静岡済生会総合病院 精神科 医師)
根立 隆樹(株式会社 白寿生科学研究所 研究員)
原川 信二(帯広畜産大学 生命平衡科学講座(白寿) 客員教授)
発表雑誌
発表雑誌名:Applied Sciences
論文名:Decreases in Sympathetic Activity Due to Low-Intensity Extremely Low-Frequency
Electric Field Treatment Revealed by Measurement of Spontaneous Fluctuations in Skin
Conductance in Healthy Subjects
著者:Toshikazu Shinba, Takaki Nedachi, Shinji Harakawa
論文 URL:https://www.mdpi.com/2995900